Column [Good Bye Mr. YOKOI Gunpei!]

【コラム】

さようなら横井軍平氏

1997 高沢秀人


去る1997年10月4日、元任天堂開発一部部長の横井軍平氏が交通事故で亡くなられた。
氏は今日の任天堂を築いた大立役者の一人であり、ゲームウォッチやゲームボーイ、ラブテスターなどの製作者として知られている。ゲームボーイポケットの製作を最後に任天堂を退社し、自分の会社を設立してアミューズメント機器を中心とした新たな研究開発に取り組んでいた。
まだ57歳と死ぬには若く、まだまだこれから活躍が期待される人であり、まだまだ様々なバカなモノを作ってくれたであろう人なだけに、今回の不慮の死は非常に惜しまれる。
ちなみに遺作は、株式会社ヒロから発売された携帯用ミニゲーム「くねくねっちょ」である。

世間が32ビット・64ビット…と、マシンの高機能化に走り始めた中、遊びとは本来そういうものではない、求められているのは「新しい面白さ」だと、新たな感覚を追求したゲームマシン「バーチャルボーイ」を製作するが失敗。いろいろと批判を受けたであろうが、ポケモンがFFZより売れていることを考えれば、その考え方自体は決して間違ってはいなかったと言える。「据え置き型の3Dマシン」という他の家庭用ゲームマシンと同じ土俵に立ってしまったのが間違いだったのではないだろうか。
私は個人的には、アウトドア系のGショックみたいな時計・温度計・湿度計・気圧計・磁石・ラジオ・GPSなどがついたゲームボーイのニューモデルのようなものを出して欲しかった。
外部の情報をゲームに取り入れることで、今までにないたくさんの新しい面白さを作り出すことができるはずなのだ(それに登山にゲームボーイ持っていくなんて、カッコイイではないか)。

生涯に渡ってヘンなものを作り続けた横井軍平氏。
ゲームウォッチやゲームボーイでさんざん遊ばせていただいたことに感謝しつつ、
横井氏のご冥福を、心からお祈りしたい。


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 日本偽現実工学会会報 [The Bulletin of Japanese Fake Reality Engineering Society]
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